「経済成長」と聞くと、みなさんはどのようなイメージを持つでしょうか?
なんとなく良いことのように思える一方で、環境破壊や格差の拡大といった問題もよく指摘されます。
今回は、そもそも経済成長とは何かをあらためて整理し、その意義と課題、そしてこれからの成長のあり方について考えてみたいと思います。
- 経済成長とは、物価変動を除いた「実質GDPの増加」を指す
- 経済成長で「経済」という「みんなで分けるパイ」そのものが大きくなる
- 経済成長には所得増や雇用拡大などの利点と、格差拡大や環境負荷といった課題の両面がある
経済成長とは「実質GDPの増加」のこと
経済成長とは、端的に言えば「実質GDP(国内総生産)の増加」のことを指します。
「GDP」とは、一定期間(通常は1年間)に国内でどのくらいモノやサービスの儲けが生み出されたかを表す指標です。
「実質」とは、物価の変動を取り除くということ。例えば物の値段そのものが上がっていると、それだけでも「儲け」の額は大きくなり、経済規模の変化を正確に評価できなくなってしまいます。
物価の変動を除いた「実質GDP」が増えるということは、国全体で生産されるモノやサービスの“量”が増えていることになります。
言い換えれば、経済成長とは「経済」という「みんなで分けるパイ」そのものが大きくなるということ。
勘違いされがちですが、誰かが豊かになった分、誰かが貧しくなっている、ということではありません。
大きくなった経済によってもたらされる果実を適切に分配することで、みんなが豊かになれる可能性があるのです。
経済成長の「メリット」と「デメリット」
メリット
- 国民全体の所得が増え、生活水準が向上する。
- 雇用が拡大し、失業率が下がる。
- 税収が増えることで、財政赤字が縮小する。
- 社会全体に余裕が生まれ、政治や社会の安定につながりやすくなる。
デメリット
- 成長の恩恵が偏ると、所得格差や地域間格差が拡大する。
- 生産活動の拡大により、環境への負荷が大きくなる。
- 経済的な“量”ばかりが重視され、豊かさの「質」が置き去りにされることもある。
このように、経済成長にはプラス面とマイナス面の両方が存在します。
問題を生むのも成長、解決するのも成長
経済成長によって生じた環境や格差の問題も、実は経済成長によって解決される可能性が高いという事実があります。
たとえば、再生可能エネルギーの導入、省エネ技術の普及、蓄電池や水素エネルギーの開発など、環境問題への取り組みには膨大な研究開発費と社会的投資が必要です。
これらを可能にするのは、経済成長によって生まれた資源や市場、そして人材です。
つまり、「成長は問題を生むだけでなく、それを乗り越える力にもなる」といえるのです。
おわりに
経済成長には確かに負の側面もあります。
しかし、それを乗り越えていくための力や手段もまた、成長の中にあるのです。
成長の果実をどう分配し、どう活かすか。
私たちが目指すべきなのは、ただの「大きな経済」ではなく、「賢い経済」なのではないでしょうか。